生体機能を維持するためには核酸・酵素(蛋白質)などの高分子化合物から、ステロイドの様な低分子まで様々な化学物質が関与しています。
当研究室ではターゲットをあえて特定せず、すべてのカテゴリーを視野に入れ、真の機能発現物質は何か、またその機構はどのようなものかといった、
生物現象を化学的立場から総合的に解明することを主な目的に研究を展開しています。
青森県はリンゴの生産高が日本一であることから、リンゴを研究素材として用いています。

リンゴの花は品種により自己の花粉と受精することの出来るもの
(恵、弘大一号など:自家和合性)と、 受精することの出来ないもの
(スターキングデリシャス、ふじなど:自家不和合性)があります。
このような花粉の認識機構が、どのような生体分子の作用によって発現しているのかを蛋白質やDNAレベルで取り組んでいます。
(リンゴ自家不和合性関与蛋白質の作用機構の解明)
スターキングデリシャスの花

セリの一品種である「ミヤギ」は、青森県津軽地方で栽培されています。ミヤギの葉茎は通常は緑色をしているが、
冬季に栽培されるとしばしば赤褐色化し、市場価値を下げる原因になります。
このような低温による葉茎での二次代謝産物の代謝の変化を研究しています。
(低温栽培セリの赤色化原因化合物の解析)
低温処理セリの葉茎に含まれる
アントシアニン配糖体のメタノール溶液

ベニバナの品種には色のちがう花を咲かせるものがあります(左:剣葉、右から2番目:黄金花笠、右:白花)。
剣葉品種はベニバナ染などで有名ですが、開花直後はオレンジ色で枯れるころになって真っ赤になります(左から2番目)。
当研究室では、この赤い色素(カーサミン)の黄色い前駆物質(プレカーサミン)の構造を明らかにしました。
その後、ベニバナ花弁色素成分の生合成経路を明らかにするために、これらの品種の花弁色素成分の差異を明らかにしています。
現在は、生合成経路を明確にするための実験を行っています。
(ベニバナ花弁色素の生合成)
これらの研究には、生物活性の検定、生体からの抽出、成分の精製-構造決定、 さらに化学変換や化学合成、遺伝子工学を用いた人工蛋白の合成等を組み合わせて機能解明へと色々な技術知識を総合して研究を進めていく必要がありますが、 教官・大学院生それぞれが得意分野を活かしつつ、ほぼすべての技術をカバーしております。

400MHz NMR
天然から抽出、分離、精製、単離された化合物、或いは化学合成された化合物は、この装置を用いてその構造が明らかにされる。
(化学構造式を明らかにすることが出来る。)

エレクトロスプレイ・マススペクトロメータ(ESI-MS)
天然から単離された化合物や合成された化合物の分子量を明らかにするために必須な機械。
また、MS/MSモードを利用することにより、分子の構造情報が得られる。

分子設計及び解析ソフトウエアとワークステーション
主に蛋白質の構造を解析するソフトウエアがそろっています。
本研究室では低分子化合物にも適用して、分子構造の解析に用いています。
生物化学研究室は教官を始めとして大学院生・学部生ともに研究熱心なメンバーが揃っており、
大学院への進学率も高く、最も活気がある研究室であると自負しています。
最後に、生物現象の化学的研究に興味のある実験好きな学生さんにどんどん参加して欲しいと念願しています。