DNA 複製


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細胞が分裂する前に,細胞がもつ DNA すべてが複製されなければならない。真核細胞では,DNA 複製は 細胞周期 のS 期に起こる。

DNA 複製の進行:

 

DNA 複製は "半保存的" に起こる

DNA の複製は: この複製の様式は "半保存的" semi-conservative であると表現される。すなわち,新しく作られた DNA 分子は元の鎖と新しい鎖がより合わさっていることになる。

これは Watson と Crick によって示唆された DNA 複製の仕方であるが,その後メセルソンと スタール Meselson and Stahl の実験によってこのモデルが正しいことが証明された。

複製のスピード

前核細胞 prokaryote

大腸菌 ゲノムのような単一環状 DNA 分子は 4.7 x 106 個の塩基対を含む。複製開始起点 は 1 ヵ所であり,その位置は一定である。 1 秒当たり約 1,000 個のヌクレオチドが複製されていき,40 分もかからず終了する。また,これらの過程は極めて正確に行われ( 修復機構もある ),109 個のヌクレオチドが組み込まれるうち 1 個のエラーが起こる程度である。つまり,大腸菌ゲノムは 1 つのエラーもなく複製されることの方が多いのである。


真核細胞 eukaryote

ヒトの染色体には平均して 150 x 106 個の塩基対があり,これらは 1 秒当たり約 50 塩基対の早さで複製されていく。もし各染色体の複製起点が 1 ヵ所しかないとすると,複製の完了には異常に長い時間を必要とすることになる。しかし実際には,染色体に沿って多くの複製起点が存在することがわかっており,培養細胞の DNA 複製期は約 7 時間程度である。

ある複製起点では S 期に先立ち複製が始まることがあるが,すべての過程は S 期が終了するまでに完了する。複製の完了が間近になると,新たに複製された DNA 鎖が会合し結合して,最終的に 2 本の新しい分子が形成される。


複製の制御

新旧の DNA 鎖ができあがるが,真核細胞はどのようにして既に複製された方とこれから複製される方を判断しているのだろうか?

ある実験: 細胞周期 の G2 期にある細胞を S 期の細胞と融合させると,S 期の核では DNA 複製が正常に進行するにもかかわらず,G2 期の核の DNA は再び複製を始めない。有糸分裂が完了するまで,新しく合成された DNA は再び複製ができないのである。

2 つの制御機構がこれまで分かっている。ひとつは の制御で,他の 1 つは の制御である。このように重複した機序をもつのは,完全なゲノムを正確に複製するためと考えられる。

DNA 複製の正の制御:ライセンシング

複製のために,各複製元を明確にしておく必要がある。

DNA 複製の正の制御:ゲミニン

G2 期核が少なくとも ゲミニン geminin と呼ばれるタンパク質をもつ。これは,新たに合成された DNA 上に MCM タンパク質が配列するのを妨げる( Cdt1 の働きを抑えると考えられている )。

細胞が 有糸分裂 mitosis を完了すると,ゲミニン が分解して, 2 個の娘細胞の DNA がライセンシング因子に反応できるようになり,そして次の S 期にそれらの DNA が複製される。

ある細胞は意図的に細胞周期を短縮して,分裂せずに S 期を反復することがある。これは 核内複製 endoreplication と呼ばれている。このような細胞が,有糸分裂せずに DNA 複製を可能にする仕組みについてはまだ分かっていない。

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April 1, 2010