このページの内容

減数分裂 Meiosis

こりゃ問題だ!

有糸分裂 mitosis によって,親細胞と同じ数の 染色体 chromosome をもつ細胞が 2 個生じる。すなわち, 2 倍体 diploid 細胞 ( 2n ) の有糸分裂によって, 2 個の 2 倍体娘細胞が生じる。もし, 2 個の 2 倍体細胞が有性生殖すると,それらの融合で 4 倍体 ( 4n ) の接合子 zygote ができてしまう。

解決方法としての減数分裂

減数分裂は 真核生物 eukaryote における細胞分裂の一過程である。

その特徴は:

動物では減数分裂によって,生殖細胞 ( 卵子と精子 ) が形成される。

第 1 減数分裂

第 1 減数分裂の 前期 ( prophase I ) は有糸分裂の前期に比べると非常に複雑な ( そして,非常に長く持続する ) 過程である。

このステージの要約については以下の通りであるが, 詳細については 下記 を参照のこと。

第 1 分裂中期 metaphase I に,微小管 microtubule から成る紡錘糸が各キネトコア kinetochore というタンパク質構造体 ( 図参照 ) と 細胞 の紡錘極との間に形成される。


それぞれの相同染色体が中期赤道面から引き離されることになるが,中期ではキアズマはお互いに接着したままで,コヘーシンが姉妹染色分体を接着するのに働いている。

第 1 減数分裂後期 anaphase I では,

コヘーシン分解の機構についてはこちら

第 2 減数分裂 meiosis II

第 2 減数分裂における染色体の行動様式は有糸分裂のそれと同様である。

遺伝子組み換え

減数分裂は有性生殖時のゲノムサイズの保存に重要なだけではなく,後代のゲノムを多様化するための 3 つの機構を含んでいる。

1. 乗り換え crossing over

キアズマは非姉妹染色分体が遺伝子の交換が起こった部位を示す。この過程を乗り換えと呼ぶ。相互交換が起こり,各非姉妹染色分体によって交換された部位は相同である ( ただし,対立遺伝子が異なっていると思われる ) 。

各染色分体は単一 DNA 分子をもつ。したがって,乗り換えとは隣接するDNA分子との部分交換ということになる。この現象は極めて正確に起こるので,染色分体はいかなる遺伝子も失うことなく完了する。

実際,遺伝子内に乗り換えが起こったとしても,乗り換えによって塩基が失われたし,追加されたりということは無い。ただし,フレームシフト frameshift 突然変異によって,必要な遺伝子産物が変化してしまったり,欠損したりすることがある。

DNA 分子の乗り換えについてはこちら

上の図では,簡単のために1個のキアズマのみを示している。しかし,通常は複数のキアズマが生じる ( ヒトでは,平均キアズマ数は染色体四分体当たり 2 ヵ所以上である ) 。右の写真 ( バッタ Chorthippus parallelus の染色体四分体 ) では, 5 個のキアズマが観察される。

2. 相同染色体の任意の組み合わせ

第 1 減数分裂では,中期板 metaphase plate での父方ならびに母方の相同遺伝子の配列は無作為に起こる。

したがって,減数分裂によって形成される各細胞はいずれかの相同遺伝子を含むことになるので,父方と母方の相同遺伝子の可能な組み合わせ数は

2n,ここで n は半数体の染色体数である。右の図では,簡単のために染色体数を 3 としている。

したがって,23 = 8 通りの異なる組み合わせが生じることを示している。

ヒトにおける任意の組み合わせは

223 = 8,388,608 通りの染色体の組み合わせがあることになる。

さらに,乗り換えが起こることも考え合わせると,これらの染色体が母方または父方の染色体と同じである可能性は極めて低い。

以上のことから,男性の一生のうちに生産される何十億という精子が,あるいは女性の生涯を通じて排卵される何百個という卵子のどれもが,全く同じ遺伝子構成をもつことはないと言っていいだろう。

3. 受精

2n から n へ染色体数が減少することによって, 2 種類の配偶子が融合する準備ができたことになる。両親が遺伝的に異なっていれば,彼らの子孫に遺伝子の新しい組み合わせが生じる。

これらの 3 つの機構を考え合わせると,同じ受精卵から発生した一卵性双子でない限り, 2 人の人間が全く同一のゲノムを共有するということはあり得ないと思われる。

第 1 減数分裂前期に何が起こるのか?

第 1 減数分裂前期は複雑で長期に亘る過程で, 5 つのステージに分けられる。

1. 細糸期 leptotene

2. 接合糸期 zygotene

3. 太糸期 pachytene

DNA分子の組み換えについてはこちら

4. 複糸期 diplotene

5. 移動期 diakinesis

ある生物では,染色体が脱凝縮して,しばらくの間転写が開始する。その後,染色体は再び凝縮し,第 1 減数分裂の準備に入る。

この現象が起こらない生物では,移動機は単に複糸期から第 1 減数分裂の単なる移行期に過ぎない。

減数分裂におけるエラー

減数分裂は完璧ではない。ヒト受精卵の 10 - 20% は染色体異常を含んでいると推定されており,妊娠が中断する最も大きな原因と考えられている。

これらの染色体異常は,


前ページへの移動はWebメニューの戻るを利用してください
April 1, 2010