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有糸分裂 Mitosis


真核細胞が分裂する時,それぞれの娘細胞 ( 後代の細胞 ) は以下のものを含む:

細胞には非常にたくさんのミトコンドリアとリボソームがあり,各娘細胞はそれらの一部を獲得する。しかし,細胞のすべての遺伝子を 2 セットにして,各娘細胞に分配するのには極めて精巧な仕組みが必要となる。

下の写真を見て欲しい。写真は 1 本のヒト染色体から調整された DNA 分子の一部( 3% 程度 )を示す ( 染色体は処理されてヒストンが除去されている ) 。これだけで,46 本の染色体のうちの 1 本の,さらに 3% である。

驚くべきことに,それらが DNA の全長に亘ってエラーもなく,絡まることなくもなく,細胞は複製して,分配しているのである。

精巧な仕組みとして:

  1. 細胞周期の S 期に,各染色体の複製が行われる。
    細胞周期についてはこちら
  2. この時二分染色体 dyad,すなわちそれぞれが 2 本の全く同一の 姉妹染色体 sister chromatid が複製される。 これらの染色体は コヘーシン cohesin と呼ばれるタンパク質で結合している。
  3. 染色体の凝縮が起こる。この時,ATPコンデンシン condensin と呼ばれるタンパク質複合体が必要となる。
  4. 姉妹染色体が分離する。
  5. 娘細胞に均等に分配される。

ステップ 3 - 5 は 有糸分裂 mitosis によって行われる。これによって,複製された染色体の 1 本が ( 1 個の中心体も含め ) 各娘細胞に分配される。有糸分裂を 5 段階に分けて見てみよう。

細胞の分裂期以外の時期は ( 周期の大部分の時期に相当 ) 間期 interphase と呼ばれる。

1. 前期 prophase

2. 前中期 prometaphase

紡錘糸とモータータンパク質の役割についてはこちら

キネトコアに付着した微小管が染色分体に対し張力を与える。各二分染色体に対して,一方の姉妹染色体のキネトコアが 1 つの極に付着し,もう一方の姉妹染色分体は他極に付着させる。キネトコアは紡錘糸に付着しないとこの過程が中断してしまう。

細胞周期の紡錘糸チェックポイントについてはこちら

3. 中期 metaphase

張力は長さに比例する。染色分体が 1 つの極に接近するにつれ反対側の張力が増大し,二分染色体は極間の中間である赤道部位へ引き戻される。すべての二分染色体はこの部位,すなわち 赤道板 equatorial plane または 中期板 metaphase plate に並ぶ。染色体はこの時最もコンパクトに凝集している。

4. 後期 anaphase

姉妹キネトコアは突然分離し,それぞれの極へ移動し,付着している染色分体が引っ張られながらそれに続いて移動する。

姉妹染色分体の分離は,それらを結合させているタンパク質,コヘーシン cohesin の分解に依る。その過程は以下の通りに進行する:
  • コヘーシンの分解はタンパク質分解酵素であるセパリン separin ( またはセパラーゼ separase と呼ばれる ) によって引き起こされる。
  • 後期促進複合体 anaphase promoting complex ( APC ) がセキュリン securin を分解する ( プロテアソーム proteasome に処理されるよう標識される ) 時に後期に移行する。こうして,セパリンの抑制が解除される。
  • その結果,セパリンはコヘーシンを分解する。

5. 終期 telophase

染色体の周りに核膜が再び形成され始め,染色体は凝縮した形態から伸張した形態に戻る。

細胞質分裂 cytokinesis

有糸分裂は各々の細胞の染色体を複製して,分離する過程である。その後,細胞の分裂が起こる。"細胞質分裂" cytokinesis とは 1 つの細胞が 2 つに分離することを指す。

動物細胞 では,アクチンフィラメント actin filaments の帯が紡錘極の中間の細胞の境界に形成される。アクチンフィラメントは強力に収縮して, 2 つの娘細胞に分断する。

植物細胞 では,膜に結合した 細胞板 cell plate が中期板があったところに形成される。細胞板はゴルジ装置によって合成されたもので, 2 つの娘細胞に分離するときの細胞膜として利用される。娘細胞間の新しい 細胞壁 cell wall の合成も細胞板で行われる。


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April 1, 2010