【受賞報告】 本学部佐野輝男教授が2020年度日本学士院賞を受賞しました

このたび、本学部食料資源学科佐野輝男教授が、日本学士院の2020年度の日本学士院賞を受賞しました。

日本学士院は、学術上功績顕著な科学者を優遇するための機関として文部科学省に設置され、学術上特にすぐれた論文、著書その他の研究業績に対する授賞事業等を行っています。

日本学士院賞は、日本の学術賞としては最も権威ある賞で、今年度は「ウイロイドに関する研究」の佐野教授ら9人の研究者が受賞しました。

佐野教授は、最小の自律複製病原遺伝子であるウイロイドの研究を総合的に展開し、ホップ矮化病の伝染源の特定、国内の作物と果樹のウイロイド病の全容、ウイロイドの多様性と分子進化、病原性を解明し、診断と防徐に貢献しました。

なお、授賞式は6月に東京・上野の日本学士院で開催予定です。

 

詳細は、こちらから 日本学士院のページ

https://www.japan-acad.go.jp/japanese/news/2020/040601.html

 

 

【受賞理由】

研究題目:ウイロイドに関する研究

 

佐野輝男氏は、ウイロイド研究の黎明期から現在に至るまで40年に亘り、総合的な研究を展開しています。佐野氏は、最小の自律複製病原遺伝子であるウイロイドが宿主に適応・進化する、生物の基本的な性質を有することを実証しました。また、国内の作物と果樹に発生する多くのウイロイド病を調査し、ホップ矮化ウイロイドの変異体が世界のブドウ、柑橘、モモとスモモに感染していることを明らかにしました。特に、ブドウに不顕性感染している変異体がホップに伝染してホップ矮化病を起こしたことを15年間の遺伝子変異解析で実証しました。さらに、ウイロイドの病原性発現機構を解明するとともに、抵抗性作物開発に向けた道を拓き、ウイルス・ウイロイド無病ホップ作出技術の指導と啓蒙活動を通じて安定生産に貢献しました。以上の成果は、世界のウイロイド学を先導するもので、植物病理学等の学術のみならず、植物保護・植物検疫等の実用的分野にも大きく寄与しています。

 

【用語解説】

〇ウイロイド

米国で1971年にやせいも(spindle tuber)病のジャガイモから発見された新しい病原で、現在まで農作物の重要病原として世界で30種以上が報告されている。ジャガイモ、トマト、柑橘類、ココヤシ、キク、ホップ、キュウリなど様々な農作物に甚大な被害を齎す。約250~400ヌクレオチドのRNA(リボ核酸)で、タンパク質情報を持たないが、宿主植物細胞に侵入すると増殖し病気を起こす病原RNAである。動物の病原では発見されていない。

〇ホップ矮化ウイロイド

1977年に日本で発見されたホップ矮化病の原因となるウイロイド。

〇変異体

ホップ矮化ウイロイドは297ヌクレオチドからなる。分離される宿主植物により少しずつ塩基配列が異なる。これを変異体(あるいは塩基配列変異体)と呼ぶ。ウイロイドではゲノム塩基配列が90%以上同じであれば、原則として同一種の変異体として扱われる。

〇不顕性感染

病気を引き起こさずに感染していること。感染に気付かないため駆除が困難で、伝染源として病原を拡げてしまう恐れがある。

〇ホップ矮化病

1940-50年代に日本の栽培ホップに初めて発生した病害。感染ホップは生育が悪く蔓が伸びなくなり、収穫量が減少し、品質も低下する。1960年代から1980年代まで国内のホップ産地で流行し、国産ホップ栽培に大打撃を与えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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