教員紹介

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殿内 暁夫 とのうち あきお

  • 英語表記 Akio Tonouchi
  • 職名 教授
  • 所属 弘前大学 農学生命科学部 分子生命科学科
  • 専門分野 微生物生態学
  • email symbio [at] hirosaki-u.ac.jp

※メールアドレスは [at] を @ に変えてください。

メッセージ

弘前は大都会に比べて様々な情報を得にくいという難点はありますが、大都会にないものがたくさんあります。戦中に空爆を受けておらず、古い町並が比較的残っている静かな町で、少し足を伸ばせば、霊峰岩木山、世界自然遺産白神山地にもいけるというある意味贅沢な暮らしのできるところです。このような落ち着いた環境である弘前はものを考えるにはじつにふさわしい土地であると思います。弘前で学んでみませんか。


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  白神より岩木山を望む。ここから見た岩木山はもっとも形がよいといわれています。
  「平成16年度 弘前大学白神研究会 春の観察会」にて撮影。


研究テーマ

微生物生態学

  1.  この地球上にはあらゆるところに微生物が棲んでいるといってもよいでしょう。空気中、川や海などの水の中、温泉、土の中などなど。微生物がその生息環境でどのように生きているか(機能、役割)などを研究するのが微生物生態学です。研究対象は無限にありますが、私は土壌中の微生物、特に湛水水田土壌における物質代謝に関わる微生物の研究をしています。あまり知られていないことですが、水田の土の中は酸素が存在しない環境となっています。そのような環境では有機物は最終的にメタンにまで分解されます。炭酸ガスは近年、その温室効果から地球温暖化にあたえる影響が懸念されいますが、メタンはそれにまさる温室効果を示すため、その削減が課題になっています。実は水田は主要なメタン発生源なのです。しかしながら、水田におけるメタン生成の機構は土壌化学的にはかなり明らかにされているのですが、微生物学的な面からはあまりよくわかっていません。水田土壌において有機物の分解に関わる微生物は数えきれないほどいますから、その全部を対象とするわけにはいけません。そこで私は、有機物分解の最終段階に働く、メタン生成菌と、そのメタン生成菌に直接、基質を与える微生物の研究をおこなっています。
            また、最近では、世界自然遺産白神山地も対象フィールドに加えようと考えていますが、まだ試行錯誤の段階です。

 


  1.  この地球上には本当にたくさんの微生物が棲んでいます。そのうち分離されているものはわずかにすぎません。人間の役に立つ、まだ分離されていない微生物はきっとまだまだいるはずです。私は、青森県の産業に役立つような、微生物の分離、また、育種を行いたいと考えています。まだ、緒についたばかりですが、興味をもつみなさんの参加を期待しています。

 

1.水田土壌中におけるメタン生成古細菌の生態に関する研究。

 湛水期間中、水田土壌は嫌気的になっています。そこでは投入された堆肥や稲藁などの有機物は、酸素が十分ある場合と異なり、一種類の生物で分解されることはありません。多糖分解細菌、糖醗酵細菌、水素生成酢酸生成細菌、ホモ酢酸生成細菌、水素利用メタン生成古細菌、酢酸利用メタン生成古細菌などの共同作業によって分解されます。この中で、互いの生育が厳密に依存する「栄養共生関係」が水素生成酢酸生成細菌と水素利用メタン生成古細菌との間に成立しています。水田土壌に限らず、この関係には不明確なものが多く、この関係に焦点を当てているのが私の研究です。tonouchi_2

  (写真:サンプル採取中。他人にとってはただの泥でも私たちにとっては宝物になります。)

2.嫌気環境における真の水素消費者と新規古細菌について

 上にのべたように嫌気環境では種々の微生物の共同作業によって有機物が分解されます。このとき水素が発生しますが、一般に嫌気的環境では、水素分圧は低くおさえられています。もしなんらかの理由、例えば有機物の大量投与などで水素がたくさん発生すると、水素生成酢酸生成細菌と水素利用メタン生成古細菌との「栄養共生関係」がさまたげられ、結果として有機物の分解が滞ることになります。この水素分圧を低く保つという大切な役割を水素利用メタン生成古細菌は持っています。無論、「栄養共生関係」においてもこの役割は重要です。しからば、この水素分圧を低くたもっているのはどのようなメタン生成古細菌なのかといえば、それはわかっていません。何故ならば、これまでの研究では水素利用メタン生成菌を分離するために、自然界ではありえないような高分圧の水素をつかっているからです。この条件で増えて来たものが、実際の土壌で水素消費者として主要な役割を果たしているかといえばそれは疑問です。最近の、分子生物学的手法を用いた研究によって、どうも、これまでに分離されたことのない新しい古細菌(おそらく水素利用メタン生成菌)が、実際の土壌における水素消費に大きな役割をはたしているだろうということが言われるようになってきました。私は、この新規古細菌を分離し、その生態を解明するために日夜励んでいます。

 

リンゴ病原菌に対して拮抗性、殺菌性を示す微生物の分離。

 リンゴは病気に対して非常に弱い果樹であるため、その防除のため過剰といってもよいぐらい農薬の散布を行っています。出来るだけ農薬を使わないのが理想的ではありますが、しからばどのようにして、防除すればよいのか?ということが課題になります。数少ない無農薬農家では、木酢液を散布し、また、腐爛病に対しては、泥巻法という伝統的は治療法で対処していますが、この腐爛病の防除がもっとも大変であるとされています。腐爛病菌に対して拮抗性を示す微生物を利用して腐爛病治療や防除に役立てようという研究は以前からなされていますが、まだ有効な手段とはなっていません。私は、様々な環境から、腐爛病菌に対して増殖抑制を示す微生物の分離をこころみ、数株の糸状菌を分離しています。実際の腐爛病治療防除への応用段階にいたるにはまだまだ時間が必要ですし、もっといい微生物が分離できるかもしれません。微生物の面から青森県のリンゴ栽培に貢献したいと考えています。

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  (写真:腐爛病におかされたリンゴの木。すでに病変部が幹の周りを覆っており、回復は不可能。)

 
 

略歴

1990年

九州大学農学部卒業

1995年

九州大学大学院農学研究科修了

1996年

工業技術院・生命工学工業技術研究所 COE特別研究員

1998年

弘前大学農学生命科学部助手

2004年

弘前大学農学生命科学部助教授


業績

○Sukthai, P. Sasaki, C. Matsuyama, N., Noda, K. Tonouchi, A. Influence of a percolation pattern on the removal soluble elements in downword water and rice plant with models of cadmium polluted paddy fields (in Japanese) J. Jpn. Soc. Soil Phys. 101, 17-26 (2005)


○Tonouchi, A. Anaerobic 2-propanol degradation in anoxic paddy soil and the possible role of methanogens in its degradation. Curr. Microbiol. 49, 75-78 (2004)


○Miyairi, K., Ogasawara, I., Tonouchi, A., Hosaka, K., Kudou, M., and Okuno, T. Low-molecular-weight pectate lyase I from Streptomyces thermocarboxydus. J. Appl. Glycosci. 51(1) 51, 1-7 (2004)


○Takeda, K., Tonouchi, A. Fujita, T., Mizukami, S., Zou, B.-Z., Miura, Y., Takahashi, H., and Abiko, T. Microscopic observation of microoganisms involved in methane production and oxidation in paddy soil. Bull. Fac. Agric. Life Sci. Hirosaki Univ. 6, 49-58 (2003)


○Zou, B-C, Takeda, K., Tonouchi, A., Akada, S. and Fujita, T. Characteristics of an anaerobic syntrophic, butyrate-degrading bacterium in paddy field soil. Biosci. Biotechnol. Biochem. 67, 2059-2067 (2003)


○Tonouchi, A., Nishizaki, Y., Tohyama, H., Takeda, K. Cloning of a gene encoding acetate kinase from Methanosarcina mazei 2-P isolated from a Japanese paddy field soil.Curr. Microbiol. 45, 390-393 (2002)


○Tonouchi, A. Isolation and characterization of a motile hydrogenotrophic methanogen from rice paddy field soil in Japan. FEMS Microbiol. Lett. 208:239-243(2002)


キーワード :
2016年3月31日 更新

殿内 暁夫 Akio Tonouchi

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