教員紹介

写真:坂元 君年 准教授

坂元 君年 さかもと きみとし

  • 英語表記 Kimitoshi Sakamoto
  • 職名 准教授
  • 所属 弘前大学 農学生命科学部 分子生命科学科
  • 専門分野 生化学
  • email sakamok [at] hirosaki-u.ac.jp
  • 電話 3893

※メールアドレスは [at] を @ に変えてください。

メッセージ

私たち人間を含めた生命体は体の中でエネルギー変換反応を行って、食べ物や光から生物が使える形のエネルギーを取り出しています。これ自体が生命活動であり、同時にこのエネルギーを使って動いたり、次世代を産み出したりしています。このエネルギーの取り出し方は多くの生物に共通の部分と、その生物の「棲家」によって特殊化している部分があります。安定した食べ物を他者に依存する寄生という生き方もあれば、植物や一部の細菌は光合成でほとんどの物を作り出してしまいます。そして私たちは食べ物にエネルギー以上の意味を見出して、食を楽しんでいます。
時にはおいしいものを食べながら体内のエネルギー変遷を勉強してみませんか。


研究テーマ

寄生虫ミトコンドリア
 ミトコンドリアは細胞内小器官の一つで、酸素を使って効率よくエネルギー産生を行う生体装置だと一般的には説明されます。ところが、酸素がほとんど無いところに棲息している生物でもミトコンドリアを巧みに利用して、酸素を使わずにエネルギー産生を行っていることが分かってきています。その一つが寄生虫です。サナダムシの仲間であるエキノコックスは日本では北海道にしかいません。注意していれば感染のリスクはほとんどありませんが、一旦感染すると、現在のところ完治させられる薬はありません。もし、エキノコックスにだけ作用する薬が開発できれば治療薬となる可能性があります。そこで、人とエキノコックスのミトコンドリアの仕組みの違いを明らかにして治療薬の開発に繋げるための研究をしています。

ユビキノン、ロドキノン生合成機構の解明
 ミトコンドリアや細菌のエネルギー産生システムの多くでユビキノンという物質が使われています。別名コエンザイムQとも呼ばれ、サプリメントにもなっています。人でも細菌でも、自身の体内で作っている(生合成している)ことから、これに関連した遺伝子がある程度分かっています。一方で、別の遺伝子を使った未知の生合成経路があるはずなのに、まだ、その遺伝子が同定されていません。また、エキノコックスではユビキノンと少し構造の異なるロドキノンという物質が利用されていますが、この生合成関連遺伝子も全く分かっていません。多くの生物で利用されているユビキノンと比較的限定された生物で利用されているロドキノンの生合成関連遺伝子の解明はエネルギー代謝の進化を理解するのに有益な情報を与えてくれるはずです。これら遺伝子の探索を、紅色光合成細菌、寄生虫、プラナリアなどを使って進めています。

プラナリアのミトコンドリア
 プラナリアは扁形動物の一つで、実はエキノコックスも同じく扁形動物に含まれます。単純に人とエキノコックスを比較するだけでなく、進化的に近い生物との比較によってそれぞれの特徴が際立ちます。エキノコックスのミトコンドリアは酸素を使わずにエネルギー産生を行います。さて、プラナリアはどうなっているでしょう?


略歴

1994年 京都大学農学部農芸化学科 卒業
1996年 京都大学大学院農学研究科修士課程農芸化学専攻 修了
1999年 京都大学大学院農学研究科博士後期課程農芸化学専攻 修了
1999年 日本学術振興会特別研究員 PD
2000年 CREST研究員(理化学研究所 細胞制御化学研究室)
2002年 産総研フェロー(物質プロセス研究部門 生体模倣材料グループ)
2002年 NEDOフェロー(物質プロセス研究部門 生体模倣材料グループ)
2003年 東京大学大学院医学系研究科国際保健学専攻 助手
2007年 同上 助教(2008年3月~2009年2月 米国ペンシルバニア大学 客員研究員)
2011年 弘前大学農学生命科学部分子生命科学科 准教授


業績

(1)Shiba T, Kido Y, Sakamoto K, Inaoka DK, Tsuge C, Tatsumi R, Takahashi G, Balogun EO, Nara T, Aoki T, Honma T, Tanaka A, Inoue M, Matsuoka S, Saimoto H, Moore AL, Harada S, Kita K.
“Structure of the trypanosome cyanide-insensitive alternative oxidase.”
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 110(2013)4580-4585

(2)Goto M, Amino H, Nakajima M, Tsuji N, Sakamoto K, Kita K.
“Cloning and characterization of hypoxia-inducible factor-1 subunits from Ascaris suum – A parasitic nematode highly adapted to changes of oxygen conditions during its life cycle.”
Gene 516 (2013) 39-47

(3)Saimoto H, Kido Y, Haga Y, Sakamoto K, Kita K.
“Pharmacophore identification of ascofuranone, potent inhibitor of cyanide-insensitive alternative oxidase of Trypanosoma brucei.”
The Journal of Biochemistry 153 (2013) 267-273

(4)Shimizu H, Osanai A, Sakamoto K, Inaoka D K, Shiba T, Harada S, Kita K.
“Crystal structure of mitochondrial quinol-fumarate reductase from the parasitic nematode Ascaris suum
The Journal of Biochemistry 151 (2012) 589-592

(5)Oda Y, Yui R, Sakamoto K, Kita K, Matsuura ET.
“Age-related changes in the activities of respiratory chain complexes and mitochondrial morphology in Drosophila. ”
Mitochondrion 12 (2012) 345-351

(6)MoriM, MorimotoH, KimYP, Ui H, NonakaK, MasumaR, SakamotoK, KitaK, Tomoda H, Shiomi K, Omura S.
“Ukulactones A and B, new NADH-fumarate reductase inhibitors produced by Penicillium sp. FKI-3389.”
Tetrahedron 67 (2011) 6582-6586

(7)Ohashi-Suzuki M, Yabu Y, Ohshima S, Nakamura K, Kido Y, Sakamoto K, Kita K, Ohta N, Suzuki T.
“Differential Kinetics Activities of Glycerol Kinase among African Trypanosome Species: Phylogenetic and Therapeutic Implications.”
Journal of Veterinary Medical Science 73 (2011) 615-621

(8)Nakamura K, Fujioka S, Fukumoto S, Inoue N, Sakamoto K, Hirata H, Kido Y, Yabu Y, Suzuki T, Watanabe Y, Saimoto H, Akiyama H, Kita K.
“Trypanosome alternative oxidase, a potential therapeutic target for sleeping sickness, is conserved among Trypanosoma brucei subspecies.”
Parasitology International 59 (2010) 560-564.

(9)Kido Y, Sakamoto K, Nakamura K, Harada M, Suzuki T, Yabu Y, Saimoto H, Yamakura F, Ohmori D, Moore A, Harada S, Kita K.
“Purification and kinetic characterization of recombinant alternative oxidase from Trypanosoma brucei brucei.”
Biochimica et Biophysica Acta 1797 (2010) 443-450

(10)Kido Y, Shiba T, Inaoka D K, Sakamoto K, Nara T, Aoki T, Honma T, Tanaka A, Inoue M, Matsuoka S, Moore A, Harada S, Kita K.
“Crystallization and preliminary crystallographic analysis of cyanide-insensitive alternative oxidases from Trypanosoma brucei brucei
Acta Crystallographica Section F 66 (2010) 275-278

(11)Paranagama M P, *Sakamoto K, Amino H, Awano M, Miyoshi H, Kita K.
“Contribution of the FAD and quinone binding sites to the production of reactive oxygen species (ROS) from Ascaris suum mitochondrial complex II”
Mitochondrion 10 (2010) 158-165

(12)Osanai A, Harada S, *Sakamoto K, Shimizu H, Inaoka D K, Kita K.
“Crystallization of mitochondrial rhodoquinol-fumarate reductase from the parasitic nematode Ascaris suum with specific inhibitor, flutolanil.”
Acta Crystallographica Section F 65 (2009) 941-944

(13)Morales J, Mogi T, Mineki S, Takashima E, Mineki R, Hirawak H, Sakamoto K, Ōmura S, Kita K.
 “Novel Mitochondrial Complex II Isolated from Trypanosoma cruzi is Composed of Twelve Peptides Including a Heterodimeric Ip Subunit”
The Journal of Biological Chemistry 284 (2009) 7255-7263


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2017年1月6日 更新

坂元 君年 Kimitoshi Sakamoto

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