教員紹介

写真:石田 清 准教授

石田 清 いしだ きよし

  • 英語表記 ISHIDA KIYOSHI
  • 職名 准教授
  • 所属 弘前大学 農学生命科学部 生物学科
  • 専門分野 森林生態学
  • email ishidak [at] hirosaki-u.ac.jp
  • 電話 0172-39-3821

※メールアドレスは [at] を @ に変えてください。

メッセージ

多種多様な生物とそれをとりまく環境についての理解は、自分なりの「自然を見るための物差し(見方の基準)」を持つことによって深めることができます。自然を見るための物差しを身につけるコツは、野外を歩いて自然界で起こるものごとを「よく見る」ことです。生物の世界についてのオリジナルな考え方も、自分の足と観察眼で得た経験知がベースとなって生み出されます。人間は「考える足」です。まずはともあれ山野や海辺を歩き、自然についての経験知を積み上げていきましょう。

本州の最北端にある青森は、豊かで多様な自然環境に恵まれています。森林であれば、八甲田連峰・白神山地などの山野に拡がる原生的な森林や二次林は、人間と森林の関係や森林生態系についての理解を深めることができる素晴らしいフィールドになります。森林生態学は、こうしたフィールドの自然に学ぶ現場発見型のサイエンスです。山や森の中を歩き、思いがけない発見や出会いにワクワクしたいみなさん、森林生態学を勉強しませんか。

      写真1

不思議の森(南八甲田)

 写真2

ブナとアオモリトドマツの森林(南八甲田)


研究テーマ

当研究室の主要な研究課題は、(1)希少木本種の保全生態学、(2)雪山の森林生態学、(3)森林植物の進化生態学・自然史です。

1. 希少木本種の保全生態学

希少な野生生物を保全・管理するための最初のステップは、当該種の個体群の現状を把握し、その将来を予測することです。環境の変化などによって個体数が減少した希少植物について現状把握と将来予測を行うためには、当該種の繁殖や個体群動態に、個体数減少がどのような影響を及ぼしているのかを明らかにしておく必要があります。当研究室では、花粉不足や近交弱勢(近親交配子孫に現れる生存率・成長量の減少)に注目して、希少木本種の繁殖と更新に及ぼす個体数減少の影響を調べてきました。また、植栽個体との交雑で起こる遺伝的なかく乱(浸透交雑や異系交配弱勢)や繁殖干渉が、野生種個体群の存続に及ぼす影響を解明するための研究にも取り組んでいます。

写真3

エゾノウワミズザクラ(青森県・板柳町)。絶滅が危惧されている青森県のエゾノウワミズザクラ個体群の構造と繁殖様式を調べています。

2. 雪山の森林生態学

 北日本の日本海側の山地は、温帯域のなかでは世界屈指の多雪地帯です。この地域には長い根雪期間や強大な積雪圧に適応した植物が分布し、多雪山地に特有の森林生態系が成立しています。多雪山地の森林生態系の特性や仕組みを解き明かす生態学-雪山の森林生態学-は、知見が集積されておらず、新しい発見が期待される分野です。北日本の積雪量は今後の気候温暖化によって変化すると予測されており(東北地方の低標高地では減少)、多雪山地の生態系も変化していく可能性があります。気候温暖化に伴う生態系の変化を予測するためにも、雪山の森林生態学を進めていく必要があります。当研究室では、多雪環境に対する樹木の多様な適応様式・生活史戦略を調べるとともに、生物間相互作用や人間と森林の関係に及ぼす積雪環境の影響を解明するための研究に取り組んでいます。

 写真4

積雪深の測定(北八甲田)。樹形や実生の開葉・生存に及ぼす積雪環境の影響を調べています。

写真5

除雪実験(八甲田・沖上平)。春期の積雪が樹木の道管形成と開葉の時期に及ぼす影響を調べています。

3. 森林植物の進化生態学と自然史

モクレン属やトネリコ属などの広葉樹を対象に、樹木の繁殖・交配様式や性表現の進化傾向を規定している究極要因を探求しています。これまでに、モクレン属が同花受粉(1つの花のなかでの自家受粉)を避ける開花様式を持つにもかかわらず、隣花受粉によって高頻度に自殖(自家受精)していることや、自殖子孫に近交弱勢が強く現れるために自殖を促す形質が進化しにくいことなどを明らかにしてきました。さらに、遅霜や被食などのかく乱に対して、森林植物がどのように適応進化してきたのかについての研究にも取り組んでいます。

 写真6

タムシバの花(北八甲田)。低木型タムシバの繁殖と個体群動態に及ぼす上層木の影響を調べています。

 写真7

ブナの晩霜害(八甲田・田代平)。晩霜害の発生頻度とその集団間・集団内変異を調べています。


略歴

1986年 北海道大学農学部林学科卒業

1988年 北海道大学農学研究科修士課程修了

1991年 東京大学農学研究科博士課程単位取得退学

1991年 森林総合研究所北海道支所 研究員

2002年 森林総合研究所関西支所 森林生態研究グループ長

2008年 弘前大学農学生命科学部 准教授


業績

石田清 (印刷中) シデコブシ(日本樹木誌2, 日本樹木誌編集委員会編), 日本林業調査会

Torimaru T, Akada S, Ishida K, Matsuda S, Narita M (2013) Spatial associations among major tree species in a cool-temperate forest community under heterogeneous topography and canopy conditions. Population Ecology DOI 10.1007/S 10144-013-0363-8.

Mizuki I, Kume A, Chiwa M, Uehara Y, and Ishida K (2012) Impact of soil water chemistry on the apparent sex ratio of the flowering ramets of the dioecious plant Myrica gale var. tomentosa. Journal of Plant Research 125:631-641.

鈴木節子・永光輝義・石田清・戸丸信弘(2012)シデコブシの訪花昆虫と雌性成功との関係. 中部森林研究60:37-42.

 鈴木節子・戸丸信弘・石田清 (2011) 希少樹種の現状と保全:保全のための課題と対策. 森林総合研究所第2期中期計画成果23 (ISBN:978-4-902606-79-9):20-21.

石田清 (2010) 林床草本ミヤコアオイの個体群構造と遺伝的構造の解明. 森林総合研究所交付金プロジェクト研究成果集27:46-54.

Mizuki I, Ishida K, Tani N, and Tsumura Y (2010) Fine-scale spatial structure of genets and sexes in the dioecious plant Dioscorea japonica, which disperses by both bulbils and seeds. Evolutionary Ecology 24:1399-1415.

Tamaki I, Ishida K, Setsuko S, and Tomaru N (2009) Inter-population variation in mating system and late stage inbreeding depression in Magnolia stellata. Molecular Ecology 18:2365-2374.

石田清 (2009) ホオノキ (日本樹木誌1, 日本樹木誌編集委員会編), 日本林業調査会, pp 591-610.

石田清 (2009) 1.2.2. 希少種, 9.2.2. c. 近交弱勢, 9.2.2.d. 異系交配弱勢, 森林大百科事典,独立行政法人森林総合研究所編, 朝倉書店, pp 20, pp268-271.

石田清 (2009) ホオノキ集団における近交弱勢の維持. 林木の育種 231:1-6.

Ishida K. (2008) Effects of inbreeding on the magnitude of inbreeding depression in a highly self-fertilizing tree, Magnolia obovata. Ecological Research, 23,995-1003.

Setsuko S., Tamaki I, Ishida K. and Tomaru N. (2008) Relationships between flowering phenology and female reproductive success in the Japanese tree species Magnolia stellata. Botany 86, 248-258.

Tsujimura, N., Ishida, K. (2008) Isozyme variation under different modes of reproduction in two clonal winter annuals, Sedum rosulato-bulbosum and S. bulbiferum (Crassulaceae). Plant Species Biology, 23, 71-80.

Kato T., Ishida K., Sato H. (2008) The evolution of nettle resistance to heavy deer browsing. Ecological Research 23, 339-345.


研究室・ゼミ

当研究室では、学部学生と大学院生が森林生態学に関わる様々な研究課題に取り組んでいます。フィールドワークを通して自然に学びたい人、植物の適応進化を生態学の視点から研究したい人、生物多様性の保全に関わる生態学・生物学を勉強したい人、当研究室で学びませんか。

研究活動

・フィールドワーク

 4月中旬~11月下旬は、毎週1~2回八甲田や白神などのフィールドに出かけます。
 研究テーマごとの繁忙期は、週末のフィールドワークも少なくありません。
 フィールドワークの多くは一人ではできません。メンバー同士の協力が不可欠です。
 車の運転ができることが望ましいです。

・実験・分析

 研究テーマによっては実験室での分析(遺伝分析や組織の観察、年輪分析など)を行います

・ゼミナール

 毎週1回、研究室ゼミと輪読会を行います。

・研究テーマ

 本人との話し合いの上で決定します。

 一人ひとり独立したテーマを設定します(責任を持って積極的に研究に取り組んで下さい)。

問い合わせ先

 詳細については、電子メールにて気軽にお尋ねください。

写真8

野外でのフィールドワーク(岩木山)。四季折々の自然を楽しみながらフィールドワークを行っています。


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2017年1月13日 更新

石田 清 ISHIDA KIYOSHI

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