教員紹介

写真:岩井 邦久 教授

岩井 邦久 いわい くにひさ

  • 英語表記 Kunihisa Iwai
  • 職名 教授
  • 所属 弘前大学 農学生命科学部 食料資源学科
  • 専門分野 食品機能科学
  • email iwai-kuni [at] hirosaki-u.ac.jp
  • 電話 3791

※メールアドレスは [at] を @ に変えてください。

メッセージ

食べ物も化学です。食品を科学することは、栄養・美味しさ・機能性を解明することです。そしてそれを活かすことは、人の健康に寄与すること、人に満足感を与えること、食に付加価値をもたらすことにつながります。特に、食品機能科学は健康の維持・増進に有益な生理機能を探索し、有益な成分を解明し、それらの作用メカニズムや体内動態を明らかにすることで、人の健康や食産業に貢献する学問分野です。
地域の『食』を学び、研究し、食のプロフェッショナルとして、一緒に明日の『食』を創ってみませんか!


研究テーマ

『地域の食資源から生理機能の探索と機能性成分の同定および体内動態の解明』
食品機能科学研究室では、地域の食資源から健康に有益な生理機能とその機能成分を探索・解明すること、機能性成分の体内への吸収や代謝とそれに及ぼす食品成分の影響を明らかにすることを大きなテーマとしています。
研究の対象は、ガマズミ、アピオス、リンゴ、ツルアラメ、ホヤといった地域の食資源が中心であり、研究手法は①生体での生理作用の評価、②試験管レベルでの活性の評価、③種々の化学的方法による活性成分の分析や定量であり、追い求めているのは血糖や高血圧等に役立つ生理活性、抗酸化作用、機能性成分の体内動態です。また、食品の研究を通じて地域社会に貢献することも目指しています。

【主な研究内容】
1)食品の生理機能と機能性成分の研究
■ガマズミの生理機能に関する研究
スイカズラ科の紅いガマズミ果実はマタギに重用された伝承をもつ山の樹で、三戸町で栽培に成功しました。我々は、ガマズミ果実の抗酸化作用や血糖抑制作用を動物試験等で明らかにし、活性成分のアントシアニン類やクロロゲン酸を同定しました。また、果汁製造後の残渣にも活性を見出し、その部分を粉末として素材化する技術も開発しました (特許第4324674号)。

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ガマズミ果実

■アピオスの生理機能に関する研究
アピオスはマメ科つる性植物で、塊茎を食べることができ、青森県で特産化を進めています。健康に良いと言われながら科学的根拠が乏しいことから、我々はその生理作用を研究しました。その結果、血圧降下作用を見出し、その作用は血管収縮に関わる酵素ACEの阻害に基づき、活性成分として新規なペプチドを特定しました。また、アピオスの花も研究しています。

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アピオスの研究

■その他の地域食資源の生理機能に関する研究
青森市は、陸奥湾でマボヤの産地化に取組んでいます。そこで、我々は青森市と協力してホヤから新しい生理機能を探索し作用成分を解明する研究を行っています。これまでに、血糖上昇抑制作用、抗酸化作用、ACE阻害活性等を見出しました。また、独特の味に関わるアミノ酸や核酸成分の分析も行っています。

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陸奥湾のマボヤ

野辺地町で栽培を進めているマメ科のカワラケツメイの肝機能や脂質代謝に対する作用や、コンブ科の海藻ツルアラメから血糖低下作用と活性成分を発見しました。
このような生理機能を秘めた食資源が青森県には豊富にあると考えられることから、基盤と成瀬入り活性の探索や、健康資源等を掘り起こす調査も行っています。

2)機能性成分の体内での挙動とそれに及ぼす食物因子の作用に関する研究
■りんごペクチンのポリフェノール吸収促進作用に関する研究
優れた機能性成分でも体に吸収されなければ保健効果は発揮されません。我々は、りんごのペクチンにフラボノイドの吸収を高める効果を発見しました。そこで、機能性成分の体内動態 (吸収, 分布, 代謝, 排泄) を解明するとともに、ペクチン等の食物因子が機能性成分の吸収や生体利用性を高める作用や相乗効果を研究しています。これによって、ケルセチンを摂取した時の低密度リポタンパク質の酸化抵抗性が、ペクチン摂取によって高まることを明らかにしました (特許第56978341号, 特許5766392号)。

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3)地域食資源の研究を通じた高付加価値化と地域産業への寄与
■ガマズミの研究と研究会活動
研究成果を利用するためにガマズミ活用研究会を設立し、県内企業とゼリー, ぽん酢やリキュール等8製品を開発・発売しました。今では三戸町の特産物となったガマズミ果実の研究や開発だけでなく、健康教室等も開催し、地元企業や生産者と一緒に地域貢献にも力を入れています。

ガマズミの紹介パンフ

ガマズミの紹介パンフ

 研究会で開発したガマズミ製品

研究会で開発したガマズミ製品

■『アピオ酢in青森りんご』の開発
アピオスの研究で見出したACE阻害ペプチドは特許となりました (特許第5060741号)。一方、アピオスの生産では、売り物にならない規格外アピオスがどうしても発生します。そこで、我々は規格外アピオスを使用してアピオスこんにゃくや豆腐を五戸町の企業と共同で開発するとともに、特許手法を利用してアピオスのエキス化に成功しました。これによって日本初のアピオス入飲料を開発しました。

アピオ酢in青森りんご

アピオ酢in青森りんご


略歴

19853            東北大学農学部 食糧化学科卒業

19903            東北大学大学院農学研究科 博士後期課程修了 農学博士

19904            三菱化成株式会社 (現田辺三菱製薬株式会社) 医薬研究所

19978            青森県産業技術開発センター バイオテクノロジー開発部

20054            青森県立保健大学 健康科学部 助教授 (兼大学院健康科学研究科)

20084            青森県立保健大学 健康科学部 教授 (兼大学院健康科学研究科)

201611           弘前大学 農学生命科学部 教授


業績

  1. Fujiwara K, Kushibe K, Sato T, Norikura T, Matsue H, Iwai K, Katoono R, Suzuki T: Synthesis of ganbajunins-D and -E and the proposed structure of thelephantin-D. Eur. J. Org. Chem., 2015, 5798-5809, 2015.
  2. Kawamura J, Miura E, Kawakishi K, Kitamura T, Iwai K: Investigation of the safety and antihyperglycemic effect of Apios americana flower intake as a food material in normal and diabetic mice. Food Sci. Technol. Res., 21, 453-462, 2015.
  3. Nishijima T, Takida Y, Saito Y, Ikeda T, Iwai K: Simultaneous ingestion of high methoxy pectin from apple can enhance absorption of quercetin in humans. Br. J. Nutr., 113, 1531-1538, 2015.
  4. Kuramoto S, Kaneyoshi G, Morinaga Y, Matsue H, Iwai K: Angiotensin-converting enzyme-inhibitory peptides isolated from pepsin hydrolyzate of Apios americana tuber and their hypotensive effects in spontaneously hypertensive rats. Food Sci. Technol. Res., 19, 399-409, 2013.
  5. Norikura T, Fujiwara K, Yanai T, Sano Y, Sato T, Iwai K, Matsue H: p-Terphenyl derivatives from the mushroom Thelephora aurantiotincta suppress the proliferation of human hepatocellular carcinoma cells via iron chelation. J. Agric. Food Chem., 61, 1258-1264, 2013.
  6. 岩井邦久, 小野寺昭夫, 岩井佳代, 森永八江, 松江一: ガマズミ果実搾汁残渣から分離した果肉皮粉末の血糖上昇抑制および抗酸化作用. 日本食品科学工学会誌, 58, 413-420, 2011.
  7. 岩井邦久, 小野寺昭夫, 岩井佳代, 松江一: ガマズミ果実搾汁残渣からの果肉皮分離法の開発とそのラジカル消去活性. 日本食品科学工学会誌, 58, 440-445, 2011.
  8. Norikura T, Fujiwara K, Narita T, Yamaguchi S, Morinaga Y, Iwai K, Matsue H: Anticancer activities of thelephantin O and vialinin A isolated from Thelephora aurantiotincta. J. Agric. Food Chem., 59, 6974-6979, 2011.
  9. 岩井邦久, 岩井佳代, 松江一, 小野寺昭夫: ガマズミ果実のポリフェノールおよびラジカル消去活性の季節変動. 日本食品科学工学会誌, 58, 21-25, 2011.
  10. Morinaga Y, Iwai K, Tomita H, Takaya Y, Naraoka T, Matsue H: Chemical nature of a new antihypertensive peptide derived from jellyfish. Food Sci. Technol. Res., 16, 333-340, 2010.
  11. Nishijima T, Iwai K, Saito Y, Takida Y, Matsue H: Chronic ingestion of apple pectin can enhance the absorption of quercetin. J. Agric. Food Chem., 57, 2583-2587, 2009.

【その他】

  1. 乗鞍敏夫, 藤原憲秀, 松江一, 岩井邦久: 食用きのこから単離したp-ターフェニル化合物の生理作用. FFI ジャーナル, 221 (3), 232-238, 2016.
  2. 岩井邦久: 第4章食品加工と栄養, 加工食品とその利用C豆類・種実類 (p.121-126), F藻類 (p.132-134). 食べ物と健康—食品の加工, 南江堂, 2015.
  3. 岩井邦久: 夏の身体が欲する水分と栄養. 現代農業8月号, p.86-93, 2015.
  4. 岩井邦久, 倉本修助, 中館洋一: 北の地域における食資源の研究と産学官連携による食品開発. New Food Industry, 55 (7), 25-35, 2013.
  5. 岩井邦久: ツルアラメの抗糖尿病作用と抗酸化作用. New Food Industry, 54 (5), 1-12, 2012.
  6. 岩井邦久: 地域の食資源から抗酸化作用と生理機能の探索. アピオスの血圧降下作用. New Food Industry, 53 (8), 19-27, 2011.
  7. 岩井邦久: 食物成分の生理作用と機能性食品-抗酸化活性と生理機能の探索-. 食品と容器, 52 (5), 304-311, 2011.
  8. 岩井邦久, 中館洋一: ガマズミ果実(神ツ実) の機能性と応用開発. FOOD Style 21, 15 (4), 35-37, 2011.
  9. 岩井邦久: 青森県の産学官連携による地域農水産資源の生理機能研究と新規素材の開発. 食品と開発, 46 (2), 81-83, 2011.
  10. Iwai K, Kuramoto S, Matsue H: Antihypertensive and hypolipidemic effects of tuber of Apios americana Medikus in SHR. Comprehensive Bioactive Natural Products, Vol.3 Efficacy, Safety & Clinical Evaluation II, Studium Press LLC, p.167-181, 2010.
  11. 岩井邦久, 西嶋智彦: 生体内抗酸化–抗酸化物質の生体利用性と活性発現–. FFIジャーナル, 215 (1), 38-45, 2010.

研究室・ゼミ

『よく学び、よく遊べ』をモットーとしています。


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2017年1月17日 更新

岩井 邦久 Kunihisa Iwai

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