教員紹介

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杉山 修一 すぎやま しゅういち

メッセージ

大学生には,社会人にはない自由な時間があります。しかし,自由はどのように活用するかでその価値が活きてきます。自由な時間をただ無為で怠惰な生活の積み重ねで終わることもあるし,有意義で刺激的な生活を過ごすこともできます。どのように活用するかはあなたの気持ち次第です。


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研究室での実験風景


研究テーマ

植物遺伝生態学

地球上に見られる多様な生物はすべて数十億年にわたる進化の結果生じたものです。生物が生み出す遺伝変異と周辺の環境からの様々な選択圧の結果,生物は精巧な適応進化をとげています。私たちの研究室では,生態学と分子生物学的アプローチを融合して植物の適応進化について解明することを目指しています。 研究は,草本植物,特にイネ科を中心に,(1)葉の形と大きさの進化メカニズム,(2)地球温暖化に対する植物の適応ポテンシャル,(3)植物と土壌微生物との共進化について,主に行っています。

1.葉の大きさと形を決めるメカニズムとその進化

 葉の大きさは,植物により大きく異なります。一般に,大きな葉を作る植物は少数の葉を作り,小さな葉を作る植物は多数の葉を作って,個体全体の葉の量が著しく偏らないように調整しています。どれだけの大きさの葉をどれくらいたくさん作るかということは植物の生長にとって大変重要なことなのですが,葉の大きさと数の調整がどのようなメカニズムにより制御され,それがどのような生態的・進化的意義をもつかは,まだよく分かっていません。葉の数は茎の先端にある分裂組織の分化速度によって決まり,葉の大きさは葉の基部にある分裂組織の活性により決まります。私の研究室では,イネ科植物を対象に,異なる分裂組織の活性の制御や細胞の生長の関係を調べることから植物の葉の大きさと数がどのように進化してきたかを研究しています。

                                        sugiyama_2                              大きな葉と小さな葉

   sugiyama_3  葉の縦断面


2.地球温暖化に対する植物の適応ポテンシャル

 最近は,だれでも地球が温暖化していることに疑問をはさみません。地球の温暖化は地球の生態系に様々な影響を与えることが予想されています。特に,地中に根を張り,移動することができない植物は,気候温暖化の影響を直接に受けますが,温暖化気候に曝された時,植物集団がどのように反応するかは,実はほとんど分かっていません。オーチャードグラスは寒冷な気候に適応したイネ科の牧草で,東北北部や北海道の路傍や空き地どこにでも見られるますが,仙台以南では暑い気候のため急激に生存ができなくなります。私の研究室では,オーチャードグラスの集団がなぜ仙台以南で急速に衰退してゆくかを,光合成の明反応と暗反応の温度反応に焦点をあてて解析し,温暖化による植物の衰退機構を明らかにしようとしています。
   また,これらの研究を通じて,温暖化に強い植物を育成しようと考えています。

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最近の温暖化傾向,
    宇都宮と青森の平均気温の変化

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東北地方でのオーチャードグラスの分布の変化


3.植物と土壌微生物の共進化に関する研究

 土壌には,無数の微生物が存在しています。地下に根を張る植物は,つねにこれら土壌微生物と何らかの関係をもって生活しないとなりません。ある土壌微生物は植物の病原菌として働き,またある微生物は,植物に窒素やリンを供給する共生者として存在しています。しかし,大部分の土壌微生物は,植物にどのような影響を与え,また植物からどのような影響を受けて生活しているかは,ほとんど分かっていません。私たちの研究室では,特に草地生態系を対象に,草地の構成植物の多様性や優占種の種類が土壌微生物の群集構造と機能にどのような影響を与えているかを,化学マーカー(リン脂質脂肪酸)やDNAマーカーを用いて研究しています。

  sugiyama_6  研究サイト,下北半島尻屋牧野の寒立馬

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ガスクロマトグラムによる土壌微生物群集の構造解析


略歴

1977年

北海道大学農学部農学科卒業

1981年

北海道大学農学研究科博士課程中退

1981年

北海道大学農学部助手

1990年

ハーバード大学生物進化学部客員研究員

1995年

弘前大学農学部助教授

2000年

弘前大学農学生命科学部教授


業績

○Sugiyama S. (2005) Polyploidy and cellular mechanisms changing leaf size: Comparison of diploid and autotetraploid populations in two species of Lolium. Annals of Botany 96: 931-938, 2005.


○Sugiyama S. (2005) Developmental basis of interspecific differences in leaf size and specific leaf area among C3 grass species. Functional Ecology 19: 916-924.


○Sugiyama S. (2005) Relative contribution of meristem activity and specific leaf area to shoot RGR in C3 grass species. Functional Ecology 19: 925-931.


○Sugiyama S. and Nikara C.(2004)Differential contribution of avoidance and tolerance to dehydration resistance in populations of perennial ryegrass, L. perenne.Australian Journal of Agricultural Research 55: 33-37.


○Sugiyama S. (2003)Geographic distribution and phenotypic differentiation in population of Dactylis glomerata L. in Japan.Plant Ecology 169: 295-305.


○Sugiyama S. and Yamada T. (2003) Variation in nuclear DNA content in natural populations of orchardgrass (Dactylis glomerata L.) in the eastern part of Hokkaido, Japan.Grassland Science 49: 129-133.


○Sugiyama S. Yamaguchi K. Yamada T.(2002) Intraspecific phenotypic variation associated with nuclear DNA content in Lolium perenne L. Euphytica 128: 145-151.


○Sugiyama, S(1999) Genetic variation in the relative dominance of mixed swards: potential influence and its mechanism.Grassland Science 44: 303-309.


○Sugiyama, S(1998) Differences in competitive ability and cold tolerance between diploid and autotetraploid cultivars in Lolium perenne.Euphytica 103 : 55-59.


○Sugiyama, S. and Bazzaz, F .A.(1998) Size dependency of reproductive allocation :The influence of resource, competition and genetic identity in Abutilon.Functional Ecology 12:280-288


○Sugiyama, S. and Bazzaz, F .A.(1997) Plasticity of seed output in relation to soil nutrients and density in Abutilon theophrasti: implications for maintenance of genetic variation.Oecologia112 :35-41.


○杉山修一(1997)草地の種構成はなぜ変化するのか ー資源の利用をめぐる種の戦略ーGrassland Science43 :179-195.


○Sugiyama, S.(1995) The relationship between growth and development of vegetative shoots in genotypes of tall fescue (festuca arundinacea Schreb.). Annals of Botany76: 553-558


キーワード :
2014年4月12日 更新

杉山 修一 Shuichi Sugiyama

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